2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17088
令和6年能登半島地震に伴う津波は,日本海を伝播し新潟県沿岸にまで到達した.同年1月と3月の延べ6日間で,北東は新潟県柏崎市から南西は県境を越え,富山県入善町までの区間の痕跡高分布を調査した.痕跡地点の特定は,主に証言を基にした漂流物および公開されていた動画による地盤高とした.その遡上高(地盤高)はRTK-GNSSで,浸水高は地盤高からスタッフで測量した.痕跡高分布の結果は,波浪に対して開放的な自然海岸と港湾・漁港による閉鎖域で大きく異なった.前者の遡上高はおおよそ5m程度で最高では7mを超え,後者は最高でも3m弱であった.また,一部の河川内で計測した高さは,これらの中間であった.これら痕跡高は津波と波浪の重畳の程度によるものと考察を行い,この重畳も防災の観点では重要であることを明示した.