抄録
2004年7月, 山梨県のサトイモ産地においてサトイモが立ち枯れる症状が発生した。発症株の塊茎は軟化腐敗しており悪臭を放っていた。また, 維管束と思われる組織が赤味を帯びていた。罹病部から分離した細菌を接種及び同定した結果, 症状が再現され, 分離細菌は Erwinia chrysanthemi と同定された。これらの結果より本病は1986年に洲鎌・土屋らにより報告されたサトイモ立枯細菌病であると診断した。また, 山梨分離株を Dickeya 属の観点より分子系統解析を行った結果, Dickeya dadanthii 最も近いことが判明した。このことは, 本菌が Erwinia chrysanthemi グループに属することを裏付ける。