2023 年 90 巻 2 号 p. 262-272
本稿では、「人間は生まれてこないほうが良い」と主張する反出生主義に関するいくつかの議論の観点から教育(学)について検討を行った。反出生主義を前提とするとき、新たに生まれてくる存在に対する教育(学)からの応答は極めて重要となる。反出生主義に応答する教育(学)は、教育(学)のすべてが肯定あるいは否定される訳ではないということに自覚的でありつつ、思考することが求められるのである。こうした教育(学)の一端は、ハンナ・アレントの論じる「準備」としての教育にみることができるかもしれない。