1979 年 10 巻 2 号 p. 125-131
血液N_2濃度測定用装置を試作し, aADN_2測定の簡易化と動脈血N_2濃度測定による慢性閉塞性肺疾患者(主に肺気腫)の健常人との識別を可能にした。装置はガスクロマトグラフとガス抽出器より構成され, 加熱昇温による液中溶存ガスの溶解度の低下と濃度勾配による気体の拡散の相乗効果を利用したガス抽出法を試料前処理法とするガスクロマトグラフィーである。本法による測定時間及び測定精度は, それぞれ20分以内, 8ppm以下(2回測定法による濃度範囲)であり, Farhiらの方法にくらべ, 短時間(約30分以上短縮), 高精度であった。また健常人と疾患群の動脈血N_2濃度範囲(血液1ml)は, それぞれ720∿810ppm, 830∿910ppmであり, 両者を充分識別できた。また動脈血N_2測定をもとに閉塞性肺疾患について, 2∿3の考察を述べた。