杏林医学会雑誌
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一過性の血清 CPK 上昇を示した慢性再発性多発ニューロパシーの 1 例
大原 總一郎木本 紀代子若林 行雄小池 秀海吉野 佳一
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1984 年 15 巻 1 号 p. 75-79

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抄録
13歳, 女性。亜急性発症の四肢筋力低下と手足のdysesthesiaを呈し, 約6カ月で不充分ながら筋力も改善し, 復学した。しかし, その約10カ月後に増悪をきたし, 前回よりは短いが, 同様の経過をたどった。ステロイドが有効であったが, かなりの脱力を残している。四肢の深部反射は消失していたが, 他覚的な知覚障害はなかった。髄液では蛋白細胞解離がみられ, 神経伝導速度は著明に低下していた。本例では一過性に血清CPKが上昇を示した点が注目された。慢性再発性多発ニューロパシーは本邦で31例の報告があり, そのうち1例で血清CPKの高値が記載されている。したがって稀ではあるが, これは本症で起こりうる現象と思われる。血清CPK上昇の機序は不明であるが, これは本症の増悪期にみられ, 何らかの因子が筋組織に一過性の作用を及ぼしたことが推定される。
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© 1984 杏林医学会
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