杏林医学会雑誌
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子宮頸癌診断におけるX線CTの役割
小島 良博
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1989 年 20 巻 1 号 p. 57-70

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抄録
未治療子宮頸癌182例にX線CTを施行し手術治療例では開腹所見,摘出標本との,放射線治療例では治療後のCT所見との比較検討を行い以下の知見を得た。1)子宮頸部陰影面積(S)は実測した癌腫の直径が2cm未満の群と2cm以上の群で有意差が認められ,S>12.6cm^2を頸部陰影拡大と定めた。2)傍組織浸潤に関するCTの精度は手術的に確認した256側の傍組織で,sensitivity 67%, specificity 91%, accuracy 86%であった。3)CTは膣表面より腔傍結合織への浸潤や膀胱方向への進展などの検索にも有用であり,手術例における膀胱浸潤判定のaccuraryは98%であった。4)最大径2cm以上のリンパ節陰影を陽性と判定した揚合,手術的に確認をした128例におけるリンパ節転移の診断精度はspecificity 100%, accuracy 89%と高値を示したが,sensitivityは26%であった。以上より,子宮頸癌の進行程度の診断において,X線CTは一定の限界を有するものの従来の診断法と併用することにより,より高い精度で癌の広がりを評価しうることが明らかとなった。
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© 1989 杏林医学会
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