杏林医学会雑誌
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成長ホルモンの卵胞発育促進作用の検討
秋葉 雅夫
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1994 年 25 巻 4 号 p. 505-515

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抄録

家兎卵巣灌流装置を用いたin vitroの実験により,成長ホルモン(GH)の卵胞発育,卵成熟,排卵,insulin-like growth factor-I (IGF-I)産生に及ぼす作用について検討した。GHによる灌流はgonadotropin (Gn)非存在下では排卵を惹起しなかったが,卵胞径を用量反応性に増大した。卵胞卵の核成熟はGH投与により有意に促進されたが,卵変性は影響を受けなかった。GH投与はprogesterone産生には影響を与えなかったがestradiol産生を用量反応性に促進した。また低用量のGn存在下においてGHは,Gnによる卵核成熟,卵胞破裂の誘起作用に対して促進的に作用した。GHは卵巣組織内のIGF-I濃度を有意に増加し,灌流開始4時間後の組織内IGF-I濃度と卵胞発育との間には有意な正の相関が認められた。以上より,GHは卵巣内IGF-I産生を介して,卵胞増大や卵胞破裂機序に対して促進的に作用することが示された。

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© 1994 杏林医学会
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