杏林医学会雑誌
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炎症性腸疾患における好中球エラスターゼの測定およびその意義
織間 一郎
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1994 年 25 巻 4 号 p. 537-544

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抄録

好中球エラスターゼ(HNE)は炎症時に好中球より放出され組織障害に大きな影響を及ぼす事が知られている。今回炎症性腸疾患においてNHEをELISA法にて測定し本疾患において有意な高値を認め(クローン病249.3±34.9μg/1潰瘍性大腸炎247.6±33.6μg/l健常対象119.1±34.2μg/l),また重症度と正の相関を両疾患において認めた。この事よりHNEは炎症性腸疾患の重症度診断に有用と考察された。またステロイド,ulinastatin併用動注療法を施行し良好な結果を得た(有効率81%)。このことより抗プロテアーゼ療法の併用は本症に対し有用と考察された。

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© 1994 杏林医学会
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