1994 年 25 巻 4 号 p. 545-554
ラット水晶体にNa^+,K^+-ATPaseアイソザイムが存在することを証明した。すなわち,すべての組織に普遍的に存在するジギタリス低感受性型(α1型)アイソザイムと,脳などの特殊な組織にしか存在しないジギタリス高感受性型(α2,a3型)アイソザイムの存在を生化学的および免疫化学的手法で明らかにした。ジギタリス高感受性型アイソザイムの水晶体における割合はおよそ60%であり,脳組織における割合とほぼ同様であった。ラット水晶体を用いた検討からジギタリス高感受性型アイソザイムは生直後はほとんど存在しないもののその後徐々に増加し,開瞼時のおよそ28日齢でプラトーに達することが分かった。