杏林医学会雑誌
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ヒト体外受精における卵成熟度評価に関する研究
羽生 一朗
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1994 年 25 巻 4 号 p. 555-563

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抄録

体外受精273周期で採卵された総計1649個の卵を対象とし,卵丘細胞塊および放射冠の観察により卵成熟度を評価し,体外受精成績との関係を検討した。放射冠の形態より卵成熟度を,過熟(O),成熟(M),中等度成熟(T),未熟(I),異常(A)に分類した。受精率・正常胚発育率は,Mにおいて最も高率であり,T,Iと成熟度が低下するにつれ有意に低下した。また第一極体が形成された卵の受精率・正常胚発育率は,第一極体が観察されなかった時に比し有意に高かった。放射冠の形態に基づく卵成熟度評価法は,卵丘細胞塊の形態に基づく卵成熟度評価法よりも,成熟卵の選別能が高かった。未熟卵に対して追加成熟培養を延長することにより,その受精率・正常胚発育率が有意に上昇した。以上より放射冠の形態に基づく卵成熟度評価法は,簡便・迅速でありながら,受精・胚分割率を良く反映し,ヒト体外受精の臨床における有用性が示された。

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© 1994 杏林医学会
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