2022 年 53 巻 2 号 p. 31-37
脂質中の微量成分として天然に存在しているフラン脂肪酸(F酸)の代謝産物と考えられている3-carboxy-4-methyl-5-propyl-2-furanpropanoic acid(CMPF)は,尿毒症・糖尿病などの発症に関連していることが報告されているが,これら疾病との関連性に関しては未解明な点が多い。そこで,今回,CMPFが及ぼす酸化傷害促進効果について詳細に検討を行った。その結果,CMPFは活性酸素種の一種であるヒドロキシルラジカル(・OH)による大腸菌プラスミドDNAの切断を増大させた。また,電子スピン共鳴装置を使用した実験結果より,CMPFがFenton反応そのものを促進させて・OHの生成を増大させていることが示唆された。さらに,CMPFが鉄イオンと非常に安定な錯体を形成することも量子化学計算により明らかにした。以上より,CMPFが及ぼす酸化傷害について確認することが出来た。