東京医科歯科大学教養部研究紀要
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脳死という死の基準と日本の生命倫理:その歴史的考察
田中 丹史
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2017 年 47 巻 p. 33-47

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抄録
日本では脳死・臓器移植をめぐって激しい論争が起こったが、定義としての脳死に関しては生命倫理の中で議論がなされない状況が続いた。例えば日本医師会生命倫理懇談会は、「死の自己決定権」という概念を導入し、脳死が人の死であるかどうかを個人の判断の問題とした。また生命倫理研究会・脳死と臓器移植問題研究チームは脳死を人の死であるか否かという問いを回避しつつ、臓器移植法の試案を発表した。しかし臓器移植法の改正をめぐる論議において発足した生命倫理会議は、法の改正を批判したばかりではなく、まさに定義としての脳死そのものを問い返すことで従来の生命倫理の活動の在り方自体をも批判したと言える。国際的にも定義としての脳死を再考する動きがあり、こうした議論が日本の生命倫理の中でさらに展開されることが望まれる。
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© 2017 東京医科歯科大学教養部
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