主催: 日本理学療法士協会 九州ブロック会
会議名: 九州理学療法士学術大会2021 from SASEBO,長崎
回次: 1
開催地: 長崎
開催日: 2021/10/16 - 2021/10/17
p. 140
【目的】
2019 年12 月に中国から発症した新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックが長期化されている中,世間は感染予防対策として,不要不急外出の自粛などいわゆる3 密状態(密閉・密集・密接)の回避を勧めている.本校は長崎市に位置する理学療法士及び作業療法士専門職の養成校として2020 年4 月以降,情報通信技術による非対面授業の導入に加え,学校行事の縮小及び中止,分散登校と会食禁止など,校内外で行動制限を実施している.今回,COVID-19 感染対策が1 年を迎え,本校学生の生活変化を調べるともに身体及び精神健康感に影響するかを検討し,次年度に向けた学校教育のあり方の再考を目的とした.
【対象と方法】
対象は本校の理学療法及び作業療法学科1~ 3年生157 名とした.方法はGoogle form® を用いたweb アンケート方式を採用し,回答期間は2021 年3月4 日から10 日間とした.調査項目はCOVID-19 に対する不安の程度に加え,食生活の質と回数,睡眠の質と回数,体重,ゲームやテレビ及び携帯の視聴時間,身体活動時間,家族及び友人との会話時間などの日常生活におけるCOVID-19パンデミック以前との比較,学校生活における不安の有無と内容,家庭内経済状況変化,そして身体及び精神健康感について設問した.統計解析はロジスティック回帰分析を用いて身体及び精神健康感の低下に影響する要因を調べた.
【結果】
有効回答率は98.7 %(155/157 名) であった.COVID-19 感染に対して88.4%に不安があった.日常生活関連では,食生活の質と回数の低下は22.6%,睡眠の質と回数の低下は40.0%,体重は62.8%に増減の変化を認めた.またゲームやテレビ及び携帯の視聴時間は49.0%が増加した半面,身体活動時間は61.3%が減少した.家族間及び友人との会話は,各々14.2%,25.8%が低下した.学校生活関連では81.0%に不安があった.その内容について,実習(解剖学演習及び臨床)への不安が47.4%で最も多く,就職活動26.6%,単位取得22.7%であった.家庭内経済状況については,21.3%が「収入が減った」と答えた.身体及び精神健康感は,各々29.7%,38.1% が低下し,向上の16.1% と17.4%を上回った.ロジスティック回帰分析より,身体健康感の低下に睡眠の質と回数の低下(odds ratio (OR) 4.6,p=0.004),体重の変化(OR4.4,p=0.016),身体活動時間の低下(OR 4.4,p=0.044),精神健康感の低下(OR10.1,p0.05).
【考察・まとめ】
在校生のほとんどがCOVID-19 感染に対する不安感を抱えていた.しかし,COVID-19 感染そのものが学生の身体及び精神健康感に影響するより,感染予防対策である外出自粛や分散登校などの校内外での行動制限が,睡眠や活動など日常生活における健康習慣に悪影響を与える可能性が示唆された.また,不明な実習日程,学校行事の中止や学生間の交流時間の短縮によるストレス解消の不在が学生の精神健康に悪影響を与える可能性が示唆された.現在の状況は当分持続すると予測される中,COVID-19 感染制御下で,学生によりたくさんの機会を与えるよう細心な注意が必要と考える.
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者に調査の趣旨及び内容について説明し,自由意志に基づきなお匿名で行い,回答をもって本調査への同意が得られたものとした.発表にあたり利益相反はない.