九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2021
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当院における教員訪問に関するアンケート調査
指導者の教員訪問への意識について
*楠元 正順*田崎 秀一郎*吉村 修*二宮 省悟*吉田 勇一
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p. 142

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抄録

【はじめに】

臨床実習は、学生に患者との直接的な関わりを与え、その経験を通して学生は臨床能力を養っていく。臨床実習指導者(以下、指導者)は学生をいかに成長させるか工夫して指導を行っているが、養成校の増加に伴い学生は多様化しており、指導に対して悩みを持つ指導者は多い。我々は、2011 年度から学会発表や論文投稿を行い、実習状況を把握し、実習指導体制の構築を検討してきた(吉村、2018;二宮、2019)。より良い実習指導体制の構築には、実習施設と養成校の連携が必要であり、その代表的なものに教員訪問が挙げられ、臨床現場で指導者と教員がそれぞれの認識を共有する重要な機会となる。そこで、本研究の目的は、指導者へアンケート調査を行い、教員訪問への意識を把握することである。

【方法】

対象は教員訪問の対応経験がある当院の理学療法士15 名(臨床経験年数11.4± 4.4 年)とした。アンケート調査は、Google フォームを利用したWeb アンケートにて無記名で任意に回答を求めた。回答方法については、選択回答と自由回答とした。検討した教員訪問に関する質問項目は「必要の有無」「困ったこと(複数回答可)」、「訪問後の学生の変化」、「訪問目的」、「困ったことのエピソード」、「教員へ期待すること」の6項目とした。

【結果】

有効回答数は15 名(100%)であった。「必要の有無」は、15 名全員が必要と回答していた。「困ったこと」は、学生についての問題意識に教員とのギャップがある7 名(46.7%)、訪問する教員の準備不足6 名(40.0%)、教員から教育的な助言や提案が少ない4 名(26.7%)、困ったことがない5 名(33.3%)であった。「訪問後の学生の変化」は、変化がある8 名(53.3%)、変化なし1 名(6.7%)、どちらともいえない6 名(40.0%)であった。「訪問目的」は、実習状況の報告、学生の問題点の把握といった教員との情報共有に関する内容であった。「困ったことのエピソード」は、学生と訪問する教員との関係が希薄であること、訪問する際の事前準備不足(学生に関する事前の情報不足)、学生に対する印象の違いが挙がった。「教員へ期待すること」は、実習状況の把握と悩みや要望も含めた学生の相談相手、指導者への学生指導のアドバイスであった。

【考察】

教員訪問は、指導者と教員が臨床現場で学生指導に関する意見交換、情報共有できる貴重な機会となる。当院の指導者は教員訪問を必要性があると考え、訪問目的を学生指導についての情報共有と捉えていた。一方、多くの指導者は、教員との学生の問題意識の相違や訪問する教員の事前準備不足、学生と訪問する教員との関係の希薄さを感じていた。そのため、指導者は訪問する教員の十分な事前準備、学生との良好な関係にある教員の訪問を望んでおり、教員からの学生指導についてのアドバイスも期待していた。以上から教員訪問は、教員が訪問前に学生の情報収集していること、訪問する教員が学生と良好な関係であること、指導者と教員が学生指導に関して忌憚なく意見交換ができることが重要と考えられた。今回の研究は、対象が1 施設の分析に留まっているため、実習施設や指導者の対象数を増やして検討を行っていく必要がある。

【倫理的配慮,説明と同意】

ヘルシンキ宣言に基づき、口頭および文書にて研究主旨を十分説明し、同意を得て調査を行った。なお、本研究は当院の倫理委員会の承認を得た(承認番号:2018)。

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