九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2022
セッションID: O-06
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口述1
オンライン教育ツールを利用した回復期リハビリテーション病棟における心臓リハビリテーション教育
川島 賢士
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抄録

【目的】

令和4年度診療報酬改定において, 回復期リハビリテーションを要する状態について「急性心筋梗塞, 狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」を追加し, 算定上限日数を90 日以内とする. という改定が行われた. 当院では, 地域包括ケア病床および療養病棟での心臓リハビリテーション(以下, 心リハ)患者の受け入れは行っていたが, 回復期リハビリテーション病棟(以下, 回復期リハ病棟)スタッフで, 心リハを経験したスタッフは1割程度であった. そのため, 今後安全かつ質の高いリハビリテーションを提供するためにスタッフ教育は急務と考え, 今年度より新オンライン教育ツールを利用した心リハに関する研修システムを考案・実施したためここに報告する.

【方法】

当院では2013 年より心リハの算定を開始し, 現在心臓リハビリテーション指導士2名が在籍している. 心臓リハビリテーション指導士を取得していないスタッフは心臓リハビリテーション指導士が1日1時間, 4~6週間のOJT を実施したのち, 心リハ算定を行っていた. 令和4年度診療報酬改定に伴い, 回復期リハ病棟スタッフへの教育も急務となったが, 元来の方法では全スタッフへの教育を修了するまでに多くの時間を要すること, 感染症対策として病棟をまたいだ患者対応を控えるため, 研修方法の変更を行った.

当院ではスタッフ教育用にオンライン教育ツールであるナーシングスキル(エルゼビアジャパン社)を活用している. ナーシングスキルはガイドラインや400 以上の講義動画がアップロードされおり, そのほかにも自主作成したデータの掲載も可能である. さらに管理者からアンケートやテストを課すことも可能であり, 各スタッフの進捗状況もオンライン上で確認が可能である.

今回は一次研修として①ナーシングスキルにアップロードされている中から心リハに関する13 動画の視聴②当院が独自に作成した6動画を視聴③症例検討・ディスカッションといった少人数グループワークの実施とし,すべて業務時間内に実施するようにした. さらに心臓リハビリテーション指導士や心不全療養指導士の資格取得を目指すスタッフに関しては二次研修として①ナーシングスキルから6動画の視聴②当院が独自に作成した2動画の視聴③書面での症例報告を5症例とした. 二次研修は業務時間外での自己研鑽とし, すべてを修了したスタッフに対しては資格取得に向けた学会費, 受験料などの補助を病院から行うこととした.

【結果・考察】

心リハを経験したことがないスタッフは循環疾患に関して漠然とした不安を抱えていることが多かった. しかし超高齢社会を迎えた本邦において,心疾患に限らず重複疾患を抱えている患者は多く存在する. そのため回復期リハ病棟スタッフにおいても内部疾患に関する知識及び臨床応用は必須となってくる. 今回の診療報酬改定をスタッフの質の向上につながるよう今後も工夫していきたい.

また, 感染症対策の観点からも大人数の研修や病棟をまたいだOJT の実施は難しく、オンラインシステムを利用した研修は今後も必要であると考える.

【倫理的配慮,説明と同意】

本演題で発表する内容は所属施設倫理委員会の承認を得た。

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© 2022 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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