主催: 日本理学療法士協会 九州ブロック会
会議名: 九州理学療法士学術大会2023 in 熊本
回次: 1
開催地: 熊本
開催日: 2023/11/25 - 2023/11/26
p. 102-
【はじめに】 近年、未曾有の災害が毎年各地で起きている。東日本大震災以降、各地で起きる大規模な災害後の対応に日本災害リハビリテーション支援協会(以下、JRAT)が活動している。佐賀県においては、2019年九州北部豪雨において甚大な被害を受けた。この年、初めて佐賀JRATとして活動を行った。しかし、当時はまだ十分な組織として機能しておらず他県より派遣して来られたRRT(Rapid Response Team)の支援を受けながら、対応した。今後もいつ起きるか分からない災害に向けて自県で対応できるだけの人材や組織について、体制を整えることが必要となった。被災したことを受けその後の佐賀県理学療法士会(以下、当士会)として災害対応の動向について報告する。理学療法士として何ができるかを広く認知してもらうために、災害対応について関わる必要があると考える。
【活動目的】 2019年佐賀豪雨災害における佐賀JRATの活動を通して多くのことを経験したことにより佐賀に応じた組織体制の構築及び人材育成、多職種との情報交換を行い有事に円滑に活動ができるように、平時より体制を整えることができることを目的に活動を開始した。
【活動内容】 当士会として以下3つの活動を行っている ①災害対策委員の選出・定期的な会議開催 ②BCPの作成・更新 ③会員安否確認訓練。また、佐賀リハビリテーション3団体協議会(以下、3団体協議会)のなかで主に ④災害リハビリテーション研修を企画運営している。
【活動経過】
①災害対策委員の選出及び会議の開催について、2019年の発災後佐賀県各ブロックより会員を選出し現状の災害対策の把握及び緊急時の体制について協議をしている。
②BCPについて、今後発災した際に、県士会業務を復旧できるようにBCPを作成した。大雨や震災のみならず、感染に対応したマニュアルを作成している。幾度かBCPを参考に当士会内で災害対策本部を立ち上げるスイッチを押す準備をした。
③有事の際に、会員の安否確認ができる体制を整える準備をしている。年2回程度の訓練メールを会員へ一斉送信を行い、施設PT代表者へ入力を促している。現在4回実施。結果は1回目4%、2回目9%、3回目21%、4回目29%の回答率であった。いずれも、まだ周知不足もあり低値を示している。会員に認識してもらえるような工夫が必要と感じている。
④教育として、佐賀県では3団体協議会のなかで災害局を中心に活動を行っている。年に2回ほどの研修を開催している。佐賀県では研修等に参加することで履修ポイントを付与し、所定の手続きを踏み佐賀県災害リハビリテーション支援チーム員(佐賀JRAT)として登録をしている。現在、18人が登録されている。リハ職種だけでなく医師も登録をしている。まだまだ、災害時に十分に対応できる人数とは言えないので今後も定期的な研修開催を行う予定である。
【まとめ】 2019年佐賀豪雨災害後、佐賀災害リハビリテーション推進協議会として組織体制の不備やJRAT活動における知識・経験不足が課題として挙げられた。災害発生時における、確固たる組織体制構築やJRAT活動の為の人材育成が必要である。また、まだ災害に関わるチームに佐賀JRATの認識が低いため関係性の不備もみられた。DMATやJMAT、DHEATなど他組織との連携強化にも努める必要がある。連携強化に関しては、佐賀災害リハビリテーション推進協議会浅見豊子代表のご尽力もあり2020年6月に各種書類を整備した上で佐賀県と協定締結ができた。そして、「佐賀県地域防災計画 令和2年8月14日修正版」への収載につながった。一歩一歩課題を解決していきながらきたる大災害に向けて体制を整えていきたい。