九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2023
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一般演題24[ 骨関節・脊髄④ ]
大腿骨転子部骨折術後患者のJensen 分類を用いた身体機能及び転帰先についての比較
O-139 骨関節・脊髄④
薮田 悠世
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p. 139-

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抄録

【はじめに】 大腿骨転子部骨折の骨折形態の分類としてEvans分類やJensen分類が用いられている。その中でも骨折形態の評価としてはEvans分類が用いられることが多い。今回、身体機能及び転帰先に関する因子を検討するにあたり、より複雑な骨折形態を診断できるJensen分類を使用した。

【方法】 2017~2019年に当院で骨接合術を施行された大腿骨転子近位部骨折29例29股(男性4例、女性25例、手術時平均年齢86.7歳(±4.9))を対象とした。入院時にJensen分類を用いた分類を行い、Ⅰ~Ⅱを安定型、Ⅲ~Ⅴを不安定型とした。安定型・不安定型の2群に対し術前の栄養状態(GeriatricNutritional Risk Index:以下、GNRI)、術前の中殿筋の横断面積・骨格筋内脂肪量、カットアウトの有無、大腿骨の骨密度、回復期退棟時のFIM利得、転帰先を比較検討した。統計学的手法としてSummaryT検定、MannWhitney検定を用い、有意水準は5%とした。本研究はヘルシンキ宣言に沿い、当院の学術研究に関する方針ならびにプライバシーポリシーを遵守して行った。

【結果】 対象者の内訳は安定型7例・不安定型22例であり、それぞれの術前の栄養状態、術前の中殿筋の横断面積・骨格筋内脂肪量、大腿骨の骨密度、回復期退棟時のFIM利得、転帰先のいずれも有意差を認めなかった。

【考察】 術前の栄養状態、中殿筋の横断面積・骨格筋内脂肪量、大腿骨の骨密に統計上差を認めず、カットアウトは1例のみであった。このことから、術後の制服が良好であり、術後の経過で安定型・不安定型における上記の検討項目では差を認めなかったと考える。今後は分類の違いや認知機能、歩行形態、術前のADL(日常生活動作)能力などの他因子も含めた再検討を実施し、大腿骨転子部骨折術後における予後規定因子を明確にしていきたい。

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© 2023 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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