九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2023
会議情報

一般演題7[ ウィメンズヘルス ]
更年期症状に対する関心及び実態調査及び理学療法士の認知度について
O-038 ウィメンズヘルス
髙田 理恵子辻 陽子坂口 弥生福島 芳子次山 航平
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 38-

詳細
抄録

【目的】 女性のライフステージはホルモンの変動に左右され、更年期では多種多様な症状が現れる。症状の一つである泌尿器生殖器症状は運動療法が有効の場合があり、理学療法士がサポートできる分野である。しかし、理学療法士が女性をサポートできる職種だということが認知されているのか疑問に感じている。そこで、今回は理学療法士が女性の身体的サポートができることに対する認知度調査を行うとともに、泌尿器生殖器症状を含めた更年期症状に対する関心や実態を調査した。

【対象】 熊本市女性のためのつながるサポート事業、UXProject等イベント参加者を対象とした。

 35歳~59歳の女性53名(30代6名、40代20名、50代27名)

【方法】

1. 質問紙記入 泌尿器生殖器症状を含む更年期症状に対する意識と実態調査、女性の身体的サポートにおける理学療法士の認知度について質問紙を用いて調査した。

2. 倫理的配慮 本研究を行うにあたり、対象者には文書と口頭で説明を行い書面にて同意を得た。また、個人情報の特定ができないよう十分に配慮を行った。

【結果】 更年期症状に対する意識調査では、更年期症状に対して関心がある84.9%(30代66.7%、40代100%、50代77.8%)、どちらでもない9.4%(30代16.7%、40代0%、50代14.8%)、関心がない5.7%(30代16.7%、40代0%、50代7.4%)、更年期症状に対して不安がある60.4%(30代50.0%、40代85.0%、50代44.4%)、どちらでもない24.5%(30代33.3%、40代5.0%、50代37.0%)、不安がない15.1%(30代16.7%、40代10.0%、50代18.5%)更年期症状があると感じたことがある64.2%(30代0%、40代70.0%、50代74.1%)、どちらでもない20.8%(30代33.3%、40代25.0%、50代14.8%)、感じたことがない15.1%(30代66.7%、40代5.0%、50代11.1%)、更年期症状に泌尿器生殖器症状(尿漏れ、頻尿、外陰部の違和感等)があることを知っている60.4%(30代66.7%、40代65.0%、50代55.6%)、知らない39.6%(30代33.3%、40代35.0%、50代44.4%)となった。

 泌尿器生殖器症状の調査ではトイレが近い・尿漏がある71.6%(30代33.3%、40代75.0%、50代77.8%)、膣や尿道の痛みがある43.3%(30代16.7%、40代15.0%、50代70.3%)という結果となった。

 女性の身体的サポートにおける理学療法士の認知度については、理学療法士が女性の身体的トラブルにサポートできることを知っている34%(30代16.7%、40代60.0%、50代18.5%)、知らない64%(30代83.3%、40代40.0%、50代81.5%)となった。

【考察】 調査の結果では、更年期に関心のあるものが8割を超え、40代では100%だった。また、更年期症状に対して不安を感じるものも6割を超え40代では8割を超した。40代は更年期症状が身近で、何かしらの症状が出現している可能性が高いことが示唆された。更年期症状に泌尿器生殖器症状があることは約6割のものに認知され、7割以上のものに症状を認めた。認知度は、症状のある40代や50代に比べ30代が高いことが興味深く、フェムテックの推進により女性の健康に対する認識が若年女性に高まっていることが考えられる。また、泌尿器生殖器症状の一つである尿失禁はQOLに影響を及ぼすため問題視されている。原因の一つに骨盤底筋群の機能の低下が挙げられる。尿失禁に対する骨盤底筋群のトレーニングは「女性下部尿路症状診療ガイドライン」でも高い推奨グレードがつけられている。我々理学療法士は運動療法を専門としており、このような症状をきたす女性のサポートが可能と考えるが、その認知度は34%と低かった。この結果は理学療法士の今後の職域の拡大や啓蒙活動などの必要性が示唆された。

著者関連情報
© 2023 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
前の記事 次の記事
feedback
Top