九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2023
会議情報

一般演題8[ 骨関節・脊髄② ]
人工膝関節全置換術術後1年後のJKOMに影響を及ぼす因子の検討
O-043 骨関節・脊髄②
潮﨑 遥
著者情報
キーワード: JKOM, VAS, TKA
会議録・要旨集 フリー

p. 43-

詳細
抄録

【目的】 当院では人工膝関節全置換術(以下、TKA)術後の機能改善・維持を把握するため、術前・術後1年毎の機能評価に加え、変形性膝関節症患者機能評価尺度(以下、JKOM)を実施し、患者立脚型評価を調査している。今回、術後1年後JKOMに影響を及ぼす因子を調査することで、TKA術後のリハビリテーションの一助になるのではないかと考えた。

【方法】 対象は変形性膝関節症の診断で初回TKAを施行され、追跡可能であった男性14名、女性44名、計58名(年齢74.8±7.15歳)とした。1年経過時の調査日数は365日±24日であった。術後合併症(感染症、深部静脈血栓症、人工関節のゆるみ)、関節リウマチ、中枢性疾患の既往のある症例は除外した。調査項目は、手術時の年齢、術前JKOM・日本整形外科学会膝痛疾患治療成績判定基準(以下、JOA)・膝関節可動域(以下、ROM)・Visual Analog Scale(以下、VAS)、術前の活動レベル、術後の歩行開始時期、入院日数、退院時JKOM・ROM・JOA・VAS、術後1年後JKOM・ROM・JOA・VASとした。1年後のJKOMに影響を及ぼす因子を調査するために、JKOMの総合点数と上記の調査項目の関連性を調査した。また、退院時及び術後1年後JKOMの中項目である、こわばり・日常生活の状態・ふだんの活動・健康状態と、上記の調査項目との関連性を調査した。統計処理はPearson順位相関係数、Spearman順位相関係数を用い、有意水準は5%未満とした。

【結果】 術後1年後JKOMの総合点数と退院時のVAS(rs=0.27)及び術後1年後のVAS(rs=0.54)に正の相関を認めた。退院時及び術後1年後JKOMの中項目と各調査項目は相関を認めなかった。

【まとめ】 本研究結果より、術後1年後JKOMに退院時のVASと術後1年後のVASが影響していることが示唆された。このことから退院時・術後1年後の疼痛を軽減させることでQOLの向上に繋がると考えられる。そのため、急性期において疼痛の早期沈静化を図り、適切な炎症対応の処置・リハビリテーションの提供・患者教育を行い、長期化させないことの工夫が重要だと考えた。

著者関連情報
© 2023 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
前の記事 次の記事
feedback
Top