主催: 日本理学療法士協会 九州ブロック会
会議名: 九州理学療法士学術大会2024 in 佐賀
回次: 1
開催地: 佐賀
開催日: 2024/11/09 - 2024/11/10
【はじめに】 脳卒中患者の中には、転倒恐怖感による行動範囲の縮小や活動範囲の減少があり、これらは身体活動量の低下につながると言われている。今回の症例においても、自主練習への取り組みが定着しつつあった脳卒中片麻痺患者が、不安感により自主練習の意欲が減少し、身体活動量の低下を認めていた。そこで、活動量フィードバックシートを利用した日中活動量のフィードバックを行うことで、フィードバックの前後の活動量を比較したところ、フィードバック後に活動量が増加したため、考察を踏まえ報告する。 【対象と方法】 アテローム血栓性脳梗塞により右片麻痺を呈した80歳代女性であり、BRSは下肢Ⅲであった。病棟内の移動は日中のみT字杖とUDflexを使用し自立レベルであった。病棟内歩行等の自主練習の促しを行っていたものの、装具完成直後で不安感もあり、自室で過ごされていることが多くなっていた。発症日をX年Y月Z日とし、課題等を与えてないZ+173~177日と、その5日間の活動量をフィードバック後のZ+178~182日の各5日間において、日中のみ活動量計を装着し、活動量の変化を比較した。フィードバック前の5日間の計測終了後に、1日の歩数が3000歩を超えることを目標にするよう提示した。活動量フィードバックシートは、平均歩数や平均総カロリー、平均活動時間がグラフや数値化出来るものとなっており、そのシートと共にフィードバックを行った。 【結果】 フィードバック前の5日間の平均歩数は2401歩、平均総カロリーは1008kcal、平均活動時間は17分となっていた。フィードバック後の5日間の平均歩数は4188歩、平均総カロリーは1038kcal、平均活動時間は26分と、フィードバック後の数値が全て上回る結果となった。 【考察】 活動量フィードバックシートを用いてフィードバックを行ったことにより、数値が可視化され、活動量を意識できるようになり、フィードバック後に平均歩数、平均総カロリー、平均活動時間の増加を認めたのではないかと考える。田辺らにより、対象がデイケア利用者であるものの、グラフやチェックシートといった視覚的フィードバックを用いた介入が効果的であると報告している。また、1日3000歩以上と目標設定を行ったことにより「活動量計の数字を確認することが増えて、歩数が低い時は歩くように意識した」と聴取した。そのことから、活動量計に歩数が表示されることで、ご本人の意欲が向上し、活動量増加に繋がったのではないかと考える。 【倫理的配慮】 本症例は、患者様の個人情報保護に配慮し、個人が特定されないよう留意し、報告の主旨及び目的を本人に対し口頭にて十分な説明を行い、同意を得た。