抄録
本研究の目的は、足把持力に影響を及ぼすことが考えられる身長や体重、下肢筋力、足趾や足部の形態及び柔軟性のそれぞれの因子と足把持力実測値との間の関連性から、足把持力に影響を及ぼす因子を抽出すること。さらに、抽出した因子によって、足把持力の予測値を求めることである。 健常女性53名の足把持力に影響を及ぼす因子として、ステップワイズ法により抽出されたのは足部柔軟性、足部アーチ高率、体重であり、標準回帰係数は順に0.41、0.41、0.30であった。また、足把持力の予測式は、「足把持力=_-_6.265+0.795×足部柔軟性+0.320×足部アーチ高率+0.111×体重」であった。この回帰式の重相関係数は0.78(p<0.0001)であり、足把持力の予測式として有意な相関性が認められた。 以上のことから、足部柔軟性、足部アーチ高率、体重の3つの因子を評価することによって、足把持力を推測し、実測すべき目安を付けることができることが判った。即ち、今回作成した足把持力の予測式は、臨床の現場において、足把持力低下のスクリーニングを行うために使用できると思えた。