九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第25回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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膝関節前方不安定性評価の検討
*蓮男 幸太平川 善之北川 智子元尾 篤
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p. 34

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抄録

現在、ACL損傷・術後評価として利用されている脛骨前方移動量の測定方法は、KT-2000 knee arthrometer を用いた臥位で行われることが一般化されている。しかし、損傷場面を考慮するとより近似した状況での測定の必要性を感じる。そこで、本研究は健常男性5名10関節を対象に従来通りの臥位での測定に加え、立位での測定〔ティルトテーブル60°・片脚立位にて80%BW〕を新しく試み、その有用性とその他の評価項目〔Cybex等速性60°/sec・等尺性30°、Laxity-test〕との関連を探った。その結果、10関節共に立位での脛骨前方移動量が低値を示した。また、Laxity-testが低値を示すもの・Cybex等尺性でのH/Q比が高値を示すものほど立位移動率〔立位脛骨前方移動量÷臥位脛骨前方移動量×100〕が低値であった。Cybex等速性では特に傾向は見られなかった。今回の測定方法は、関節構成体の弛緩性と共に膝周囲筋の筋収縮による関節制御性を同時に計測している、つまり関節の安定性に関わる受動作用と能動作用を包括していると考えられ、臨床場面での有用性が示唆された。

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© 2003 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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