九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第25回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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抵抗位置の違いによる股関節内・外転筋力
_-_内転筋群の機能的特性を探る_-_
*平川 善之石田 奈穂子山崎 登志也蓮尾 幸太北川 智子牛島 幸治
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p. 35

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抄録
変形性膝関節症(膝OA)に関し、橋村らは大腿骨幹部の外彎から発症し、内反変形へと進行するとしている。これには内転筋と外転筋の筋力バランスが関与していると思われる。今回内転筋群の機能的特長を明らかにする目的で研究を行った。 対象は健常男性10名20関節。CYBEX NORM system を用い股関節内・外転筋力を大腿遠位と近位の2つの抵抗位置で測定した。1)内・外転筋力値の左右差 2)遠位抵抗と近位抵抗の差 3)遠近比(遠位抵抗値÷近位)の3つに関して統計的分析を行った。 大腿遠位・近位抵抗で得られた各最大筋力を、体重で除した筋力値では、遠位の値が大きかったが、さらにその値をレバーアームの長さで除した単位筋力値では、逆に近位が大きな結果となった。内外転ともに関節の近位部に抵抗を加えることで、関節軸に近い筋群の活動性が向上し、動的な安定性が強化され、より強い筋力が発揮され易くなったためと思われる。3)において内転の数値が大きく、外転ほど遠位と近位で差がなかった理由としては、内転筋と外転筋の解剖学的な違いが考えられた。今後研究を重ね、内転筋群と膝OAの発症と進行との関係を明確にするとともに、適切な訓練システムの構築が必要であると思われた。
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© 2003 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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