九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第26回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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特別講演:高齢者の骨折予防
*青柳 潔
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p. 5

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抄録
[はじめに]
   骨粗髭症とは、全身性疾患であり、骨量の減少と構造の異常により骨の強度が減少し、骨折の危険性が高まった状態をいう。
 高齢者に多発する骨粗髭症に伴う骨折は、脆弱性骨折といわれ、好発部位は、大腿骨頸部、脊椎椎体、手関節部、上腕骨近位端である。こうした脆弱性骨折は日常生活動作(ADL)、生活の質(QOL)を低下させることから、医学的、社会的に問題となってきている。
[大腿骨頸部骨折]
 脆弱性骨折のなかでも大腿骨頸部骨折は寝たきりになることもあり、重篤である。大腿骨頸部骨折の発生は、年齢が高くなるに従って増加し、70歳以上になると指数関数的に増加する。骨粗髭症が女性に多いことから、大腿骨頸部骨折は女性に多い。人口の高齢化に伴い、大腿骨頸部骨折数は増加している。1997年の全国調査では、約9万人の発生が推定された。現在は10万人を超えているのではないかと懸念されている。
 しかしながら、大腿骨頸部骨折発生を国際的に比較すると、日本人は白人に比べ骨量は少ないにも関わらず、その発生は欧米の白人に比べて少ない。大腿骨頸部骨折の約9割は転倒後に発生する。日本人、ハワイ在住日系人、英国白人問で転倒頻度を比較すると、日本人とハワイ日系人の転倒頻度に違いはなかったが、英国白人は日本人ならびにハワイ日系人に比べて約2倍多く転倒していた。日本人で転倒が少ないことは大腿骨頸部骨折が少ないことに関連しているのかもしれない。
[椎体変形]
 脊椎椎体変形(既存椎体骨折)有病率は年齢が高くなるに従って高くなり、80歳を過ぎるとほぼ半数の女性が変形を有する。また、椎体変形は日常生活動作を制限する。複数の椎体変形があると、「腰を曲げ軽い物を持ち上げる」「床から5kgの物を持ち上げる」「高い所にある物に手を伸ばす」「階段を登る」「家庭内の重労働」「3~4歳の子供を抱える」動作が椎体変形のない者に比べ困難になっていた。
[薬物治療]
 生活習慣改善だけでは対応できない場合には薬物治療が必要となる。薬物治療として、近年、強力な骨吸収抑制剤であるビスフオスフオネート系薬剤が使用可能になり、骨粗髭症治療に新たな扉が開かれた。
[在宅高齢者の転倒]
 我々の調査では、65歳以上の地域在宅高齢者における1年間の転倒割合は約20%であり、その頻度は年齢が高くなるに従って増加した。転倒者の約1割が何かしらの骨折を来していた。服薬数別の転倒割合については、全く薬を飲んでいない人の中での転倒割合は約10%だったが、服用数が増えるに従ってその転倒割合は高くなり、7種以上の薬を服用している人の約40%で転倒を起こしていた。
[転倒防止のストラテジー]
 ほとんどの転倒はいくつかの要因が重なって起こるので、危険因子の総合評価が必要となる。そのすべての要因を改善することははとんど困難であるが、その中の一部でも改善できれば、転倒発生に大きな違いを生みうる。改善可能な転倒の原因因子を同定し、治療・指導していくことが重要である。
[ヒッププロテクター]
 転倒した時に大腿骨大転子部に直接外力が加わることにより大腿骨頸部骨折が発生するが、大腿骨頸部を保護するパッドが付いたヒッププロテクターを装着すると、骨折リスクが低下する。骨量が減少し、かつ易転倒性のある人には、ヒッププロテクターの装着を考慮すべきであろう。
[まとめ]
 各人で、骨量、骨量に対する危険因子の有無、易転倒性等様々である。各人の現状を的確に把握し、対応していくことが高齢者における骨折予防に必要である。
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© 2004 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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