九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 205
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リハビリテーション部門における人事評価・教育システムの構築
*山口 健一野原 英樹
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抄録

【はじめに】
18年度以降の診療報酬改定の影響は、自組織においては結果としてリハスタッフの増員となり、人事・労務管理及び評価の明確化が急務とされた。努力した者を正しく評価し、仕事や待遇に対する職員の意識改革を行うことを目的に、人事評価システムの再構築を図った。組織を、JOBを明確にしたチームに再編することで、仕事の質の向上及びその専門性を高め、その評価として、独自の認定セラピスト制度を確立した。今回、部門内の取り組み等を具体的に紹介し、実践報告とします。
【組織の取り組み】
私たちの主要な関心は、医療組織における職員の労働・厚生条件を向上させ、職員一人一人が満足感を持って医療に従事するためにはどのような人事管理が要請されるかを実証的に考察することである。
【人事考課規定の作成・運用】
等級基準を再編し、職務基準書を職種別チーム別に作成し、要求される業務内容及び能力を明確にした。「査定のための評価」ではなく、あくまでも人材育成と活用に主眼を置き、仕事の結果だけでなく、そのプロセスも大事にし、評価基準や評価方法などをオープンにしている絶対評価とした。これに加え、教育のシステムとしてプリセプター制度を導入し、部下を指導する臨床の実践能力はもちろんのこと、人間的魅力を兼ね備えた指導者として管理統率能力・指導力・コミュニケーション能力・問題解決力等の能力も要求した。
【認定制度】
人事考課制度及び教育システムの方向性は、「人を育てる仕組み」である。それぞれの職能団体が規定する教育プログラムの取得・修了を前提とした独自の認定セラピスト制度は、専門的業務の質を評価し、給与連動とすることで達成感と満足感を与えることとなっており、業務の質が向上した結果として業績向上にもつながっている。
【まとめ】
人事考課を行う上で重要なことは、人事考課を何のために行うのかという原点をしっかり認識することである。「自院・自部門の解決すべき課題は何か」をしっかり把握して、その課題解決に見合った制度を作ることにより、管理体制の見直し(仕事の与え方、管理者の意識、労働者の意識の変革など) 制度の見直し(評価制度の明確化、裁量労働制等の導入検討)賃金制度の見直し(業績連動賞与の導入など)を図ることができた。病院組織の戦略とは、ビジョンの達成を目的とし、ビジョンと現状とのギャップを埋めるための具体的施策をいう。新人事制度は、この戦略の一角である組織・人事戦略の基本フレームとして、戦略遂行、ビジョン達成のための重要な役割を果たしていると言える。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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