九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 206
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診療情報発信・受診に対するOTの意識調査
~アンケート結果からの検討~
*永田 敬生手島 智康鎌田 陽之坂口 聡子反田 治林 ゆかり森脇 悦子村元 聖治安永 貴彦吉田 亮平河口 青児(現 厚生労働省 老健局振興課)
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抄録

【はじめに】
 (社)福岡県作業療法協会教育部地域部会では、平成10年度より地域作業療法に関する研修会(以下、研修会)を企画・開催してきた。
平成19年度は情報共有のツール考案を目標とした上で「シームレス」をキーワードに「患者が転帰する上で、その情報共有をいかに行うべきか」をテーマに研修会参加者に対し、いわゆる「添書」について研修会場にてアンケート調査(以下、調査)を実施した。結果、臨床現場で生じている問題点と今後の課題が一部明確化できたため、ここに報告する。
【調査対象及び方法】
 対象は平成20年1月20日に研修会に参加した作業療法士(以下、OT)50名である。方法は質問紙法・配表調査にて実施した。調査内容は、i)転院、転棟及び退院時での添書の必要性の有無 ii)現実的な添書作成の割合 iii)添書送信困難の理由。iv)送信困難の際の対処 v)添書受信の際、欲しい情報内容(重複回答可) の5項目にて問い、その回答に対し記述意見も求めた。
【結果】
 回収部数47名(回収率94%)。内訳は病院・施設<急性・回復・維持>39名、在宅<訪問・通所>8名。調査結果は、実数(項目内割合)にて、i)必要性については、必要:47・不必要:0。ii)作成の割合については、作成率100%:27(58%)、作成率75%:9(19%)、作成率50%:5(11%)、作成率25%:3(6%) iii)困難な理由については、時間がない:9 システムがない:1 その他:記述意見にて「急な転帰に対応できない」等があった。 iv)送信困難な際の対処については、未作成:7、電話連絡:4、家族から伝達:2、担当OTに直連絡:1、その他:12、記述意見として「後日郵送・口頭連絡」等であった。v)欲しい情報については、援助目標:18、ADLレベル:28、生きがい:21、家屋環境:5、家族構成:13、趣味:5、生活癧:12、病院生活:8、リハリスク:21、性格:8。となった。
【考察とまとめ】
今回実施した調査から、実態として以下のことが判明した。i:添書の必要性に対する認識が強く、作成も高い頻度で実行されている。ii:作成実行困難の因子として、「時間・仕組みのなさ」「急な転帰への対応困難」等が挙げられる。個人情報として、ADL・リハリスク・生きがい・援助目標が求められる傾向が高い。今後の課題として、「急な転帰に対応できるシステムを構築する」「サンプル数増加により詳細な傾向を確認し、添書フォーム原案作成の検討」等が考えられた。
添書による情報の発信・受信の重要性は以前より感じていた。 今回の調査から改めて情報提供作業の実態が見えてきたと思われる。又業務多忙の中シームレスな連携を構築しようとする、OTの努力も感じることができた。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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