九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 38
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人工股関節全置換術の侵入方向による歩行の経過について
*潟永 大輔田中 とも藤波 廣憲小牧 麻美谷口 理恵横山 綾清水 啓
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抄録

【はじめに】
当院では人工股関節全置換術(Total Hip joint Arthroplasty:以下THA)は早期の歩行獲得および歩行の安定化のため前方侵入法(Direct Anterior Approach:以下DAA)がH19年より主となっている。DAAは歩行獲得に関しては当院クリティカルパス(以下パス)に近い経過で行えている。今回、DAA・後方侵入法(Direct Posterior Approach:以下DPA)前側方侵入法(Direct Anterior Lateral Approach:以下DALA)別に歩行獲得状況、術後在院期間、股関節外転筋力のについて調査したので若干の考察を加え報告する。
【DAAの侵入法の紹介】
DAAの侵入法では浅層は大腿筋膜張筋と縫工筋の間から侵入し、大腿筋膜張筋内側で深層筋膜を切開する。その後、中殿筋を外側に避け、前方関節包に到達。関節包を切開し、外旋を加え大腿骨頭を脱転させる。
【当院パス】
術後1日目setting・ポンピング。2日目近距離歩行器歩行。3日目訓練室開始。7日目T-cane歩行開始。14日目階段昇降開始。14日目~21日目退院予定。
【対象と方法】
対象は平成18年5月~平成20年3月までに当院にてTHAを施行された16名中、術後合併症を併発した2名を除く14名である。内訳は、DAA:男性3名 女性4名 平均年齢60.3歳DPA:男性2名 女性0名 平均年齢74.0歳DALA:男性2名 女性3名 平均年齢66.0歳。治療は当院CPに準じて実施。各侵入法別で、(1)術後平均在院日数、(2)術後歩行器歩行自立到達期間、(3)術後T-cane歩行自立到達期間、(4)術前・退院前の股関節外転筋力(MMT)をそれぞれ各侵入法別で調査した。
【結果】
(1)DAA:27.6日DPA:31日 DALA:29.4日14名全員自宅退院した。(2)DAA:5日、DPAは3.5日、DALAは8.8日(3)DAA:11.2日 DPA:12.5日DALA:14.8日(4)DAA:4.1→4 DPA:4→3 DALA:3.4→3.2
【考察】
上記の結果から、DAAはT-cane歩行獲得への経過が早い傾向にある。歩行器歩行ではDPAが早期に獲得しているが、正常歩行時大殿筋の活動は低い為、ハムストリングスが機能し、DPAでの歩行器歩行は早期に獲得できたのではないかと考える。T-cane歩行については股関節外転筋群が比較的保たれていたため、歩行時の跛行が抑えられ、DAAにおいて早期獲得に繋がったと考える。上記の結果から、DAAは他の術式と比べ歩行が早期に安定しており、筋の侵襲が少なく、術後手術侵襲による筋出力低下が少ない事がわかった。またDAAではパスに近い経過で実現できており、より早期の自宅退院に繋がったと考える。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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