九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会
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変形性股関節症に対する理学療法の一考察
-立位姿勢および立脚中期に着目して-
*堀坂 浩平近藤 征治菅川 祥枝
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抄録

【はじめに】
今回、右変形性股関節症を呈した症例を担当する機会を得た。当初は股関節を中心にアプローチを行ったが、持続的な効果が得られなかった症例に対して、体幹機能及び動作方略に着目し、改善を促した結果、疼痛の軽減が得られたので以下に報告する。
【症例紹介】
59歳女性。職業:農業。現病歴:以前より股関節痛があり、H19年5月、お茶摘後より疼痛増悪。H19年11月当院受診。理学療法開始。既往歴:子宮筋腫、腰痛。X線所見:右臼蓋に骨棘の形成、CE角(Rt/Lt):14.8°/25.7°。
【理学療法開始所見】
(H19.11.5)安静時痛:股関節前面及び大腿外側面に違和感やだるさ。歩行時痛:初期接地から立脚中期にて右股関節前部痛、大腿外側面張り感。ROM‐t(Rt/Lt):股関節屈曲85°/110°伸展-5°/10°内旋15°/35°内転0°/10°。MMT:股関節屈曲3/4伸展4/4+外転4/5。筋緊張:右脊柱起立筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、内転筋群亢進。立位姿勢:上部体幹右側屈、右回旋、胸椎後彎、腰椎フラット、骨盤後傾、右股関節屈曲、外転、外旋位。座位での重心の側方移動:右側への側方移動時、上部体幹を一塊とし、体幹の右側屈での対応。歩行:右初期接地から立脚中期にかけて、骨盤の右側方移動が不十分で体幹の右側屈が生じる。
【理学療法アプローチ】
(1)股関節可動域訓練(2)股関節、腹部筋機能改善訓練(3)胸椎伸展運動(4)寝返り(5)座位にて骨盤の前後傾
【臨床推論】
本症例の疼痛の原因として、当初は構造学的な問題のため右股関節周囲筋の過緊張が生じ、疼痛が起こっていると考え、股関節機能改善を目的にアプローチを行い、股関節可動性、筋機能の改善は得られたが、持続的な疼痛の軽減は得られなかった。本症例は、立位姿勢において胸椎後彎・腰椎フラット・骨盤後傾位となり、上半身重心は後方変位している。そのような立位姿勢では股関節屈曲モーメントが増加するため、大腿直筋、大腿筋膜張筋の過緊張が生じており、疼痛が生じていると推察した。また座位での重心の側方移動は、上部体幹を一塊にして体幹の右側屈での対応で、右脊柱起立筋の過剰な収縮がみられ、上部体幹の柔軟性低下、下部体幹の安定性の低下が推察された。歩行時にも同様の体幹の対応がみられ、右大腿骨頭への圧縮応力が増加し、疼痛が生じていると推察し、立位姿勢および立脚中期を臨床指標とした。そこで立位姿勢の正中化及び骨盤の側方移動を伴った重心移動を獲得するため、股関節機能のアプローチに加え、上部体幹柔軟性向上や下部体幹安定性向上を目的としアプローチを行なった。
【結果】
(H20.4.7)歩行時痛:消失。ROM‐t(Rt/Lt):屈曲105/115伸展5/15内旋20/35内転5/10。MMT:股関節屈曲4/4+伸展4+/5外転4+/5。筋緊張:右脊柱起立筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、内転筋群初期時と比較し軽減。立位姿勢:上部体幹右側屈、右回旋軽減、胸椎後彎軽減、骨盤中間位、股関節軽度外旋位。歩行:右初期接地から立脚中期にかけて、体幹の右側屈減少し、骨盤の側方移動による重心移動がみられる。

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© 2008 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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