九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 25
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随意運動介助型電気刺激装置を用いた肩関節の動作分析
*角 裕之池田 聡
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キーワード: 低周波, 動作分析,
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抄録

【はじめに】
高周期に筋活動電位測定と低周波刺激を繰返す随意運動介助型電気刺激装置は随意筋電に比例した強度で電気刺激を行うため、作業やADLなど一連の動作を行いながら筋の収縮力を高める効果がある。今回、肩関節挙上障害の患者に対しPAS system(OG技研社製;以下PAS)を用い簡易上肢機能検査(以下STEF)と機能的作業療法の分析、動作解析を行ったので報告する。
【対象と方法】
対象は今回の研究に同意が得られた術前の頚椎症の患者1名、65歳、男性であった。実験する部位は右上肢としC3/4椎間の圧排著明、筋緊張低下がみられた。運動機能はMMTにて肩関節屈曲・外転2、肘関節屈曲・伸展4、握力10.5kg、ピンチ力(1-2指間)1.1kg、近位筋優位の筋萎縮が有り手指の分離運動低下や痺れを伴い巧緻運動障害もみられた。方法は右上肢の三角筋前部繊維に筋電検出・出力用の2極導子、中部繊維に出力用単極導子を貼付し筋電感度と電気刺激強度を設定、STEFをPASの有無で行い各項目の所要時間と得点で比較した。また、検査項目3(大直方体の横移動)と6(小立方体の縦移動)の往復動作に対し症例と健常者1名(以下N)に三次元動作解析装置 3space Win(Polhemus社製)を使用して肩関節角変位の解析を行い波形の形状、最大屈曲角・最大外転角を比較した。また、肩関節挙上の作業として机上体前面のコーン(三角錐)を体前面遠位の高さ20cmの台上に移動する動作も解析の対象とした。統計処理はWilcoxonの符号付順位検定、Mann-WhitneyのU検定を用い優位水準は5%未満とした。
【結果】
STEFの得点はPAS無47点、PAS有52点、各検査項目の所要時間ではPAS有が短く有意差がみられた(P<0.05)。動作解析では検査項目3より最大屈曲角はPAS無、PAS有、Nの順に高く各々有意差があり、最大外転角はPAS有とNが同等の値で大きくPAS無と有意差がみられた(P<0.05)。検査項目6の最大屈曲角はPAS有とNが同等の値で大きくPAS無と有意差がみられた(P<0.05)。最大外転角は大きな差異は見られなかった。コーンでは検査項目6と同様の比較結果であった。波形の形状ではPAS有はNと同様の滑らかな曲線であった。
【考察】
三角筋は上肢自体と把握物の重量を保持すると同時に運動性が求められるため大きなトルクを必要とする。今回の頚椎症患者の三角筋前部・中部繊維にPASを使用しSTEFと一作業動作にて健常者と同様の動作解析結果が得られたことより、PASは筋力低下による肩関節挙上障害に対する作業療法に有用であると考えられる。問題点としてはPASの対象となる筋は筋力が低下しており低周波刺激に対し疲労が早いこと、特定の筋の収縮力が高まるため正常な関節内運動と異なるなどが挙げられた。今後は症例数を増やし治療効果について検討していきたい。

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