抄録
【はじめに】
糖尿病足部潰瘍は再発率が高く、当院においても足部潰瘍治癒後に再入院する患者は後をたたない。また、そこから切断に至るケースは多々みられる。そこで今回、当院でのフットケアに関わる理学療法士としての現状と課題を挙げたので、ここに報告する。
【対象・方法】
平成20年度4月~平成22年3月に糖尿病足病変(切断を含む)にて入院した患者60名の中で、再入院した患者16名(平均年齢62,4±12,3才、男性11名、女性5名)を対象とした。それに対し、リハビリ処方の有無、入院時からリハ介入までの期間、リハビリ介入時の評価項目を調査し分析した。
【結果】
再入院患者のうち、リハビリ処方有りが14名で、無しは2名であった。リハビリ介入までの期間は、平均9,71±10,6日であった。リハビリの評価内容は、筋力検査、関節可動域検査、ADL評価は16症例の全患者にて評価されていたが、感覚検査は4例、足趾の評価(アライメントや可動域)、アキレス健反射、健側の評価をしているのは0例であった。プログラム内容としては、下肢中心の筋力強化、歩行などのADL指導を行っていたのが主であり、全身運動を実施しているのは1例であった。
【考察】
糖尿病足病変の患者が再入院する要因として、患者の病識の低さやADL上で気を付けなければいけないことへの認識不足などが要因に挙げられるが、DrやNrsにおけるリハビリ介入への意識不足や、理学療法士としての評価力・指導力不足などが関係していることも大きな要因と感じた。また糖尿病足病変は免荷となるケースが多く、その為Bed上安静となり廃用症候群を生じ退院までに長期入院化する例が多々みられた。リハビリ処方が早期から施行されることで、廃用症候群の予防、糖尿病足病変の悪化予防となり、それによりADL・QOLの維持・向上へと繋がっていくと考えたため、今後他職種(Dr、Nrs、PO)などにリハビリ介入の重要性を啓発し、リハビリが早期介入できるようにしていきたい。糖尿病足病変は神経障害と末梢血管障害を合併している患者が多いが、当院理学療法士は糖尿病足病変患者に対しての、各検査(感覚検査や関節可動域検査、健反射など)の評価法が統一されていなく、今回の調査でも、足病変患者に対しての細かい評価ができていなかった。必要な評価項目を挙げ、それを統一することで病態把握をし、指導パンフレットなどを作成することで個々人にあった指導を行い、患者の病識の向上やADL上での危機意識向上を図っていくことが大事だと考える。それにより、再入院率を下げられるのではないかと考え、これらを今後の課題とし、対策を立てることが重要であると感じた。