2019 年 11 巻 2 号 p. 109-119
2000年代以降,ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティ・マネジメントといった「働きやすい職場」づくりへ向けた取り組みが見られるようになった。「企業」にとって「働かせやすい職場」ではなく,「労働者」にとって「働きやすい職場」づくりにするためには労働側の介入が求められよう。
「労働者」にとって「働きやすい職場」づくりをするために,労働側にはいかなる介入が求められるのだろうか。本論文では,労使共同で「働きやすい職場」づくりへ向けた取り組みを行っているサントリーグループの事例を通じ,取り組み過程におけるサントリー労働組合の役割を明らかにする。サントリーグループでは,取り組みにより,労働時間短縮が実現した。その背景には,継続的な組合員アンケート調査による取り組みの効果や現場の実態把握を通じ,「働きやすい職場づくり」へ向けた取り組みへの積極的な介入を行い,職場の声を経営側に届けるサントリー労働組合の存在がある。