抄録
【はじめに】
当法人は医療療養型病床と介護老人保健施設を有する地域に密着した医療・介護サービスを目指す複合施設である。ADL全介助状態の対象者に必要なアプローチとしてポジショニングは褥瘡、肺炎、拘縮などの予防と改善に重要である。体位交換が必要な対象者に対しては時間ごとの体位交換を行っている。しかし右股関節外旋位になりやすい方が仰臥位の時間や左側臥位の時間も右股関節は外旋位で24時間右に倒れている例も見られる。そのためリハビリテーション(以下リハ)の観点からポジショニングについて介入が必要と感じ、取り組みを開始したので報告する。
【取り組み】
平成23年2月より開始した。リハスタッフにポジショニングについての勉強会を実施し他職種スタッフへの説明資料作成や症例への介入を行った。また勉強会後リハスタッフ12名に無記名のアンケートを実施した。内容は褥瘡と拘縮とポジショニングについて勉強会前後で調べたことがあるか、また現在介入の必要があると感じる対象者数などを調査した。
【結果・考察】
アンケート結果より褥瘡と拘縮とポジショニングについて勉強会前に調べたことがある(褥瘡について92%、拘縮について92%、ポジショニングについて72%)との回答が多く、リハスタッフにはポジショニングの重要性は認知されていた。勉強会後に新たに調べたとの回答は少なかった(褥瘡について25%、拘縮について42%、ポジショニングについて42%)ため勉強会の内容やプレゼンテーションに反省すべき点があると考える。現在介入の必要があると感じる対象者数は平均6.21名であった。対象者へのリハや看護やケアについての興味や関心が深まった(100%)との回答が得られたため、一定の効果や理解は得られたと考える。
【今後の課題】
他職種への説明や協働時間、また評価用紙やカンファの開始などの工夫が必要と考える。ADL全介助、寝たきり状態の対象者が尊厳ある人生を送る為にはポジショニングや排痰・吸引、NSTなどチーム医療を推進することや排泄、入浴などのケアももっと肌理細かく取り組めるようにする必要がある。今後、褥瘡発生件数や発熱、吸引回数、CRPなどを調べ原因の究明や介入効果の検証を行いたい。先に取り組まれている病院や施設の報告を参考にし、リハが介入することにより対象者だけではなく他職種業務の助けにもなれるシステム作りにも尽力したい。当日はその後の進行状況を含めて報告する。