抄録
垣間見は日本の平安時代の物語作品における重要な場面であり、表現手法の一つである。本論文では「視線」に着目して、垣間見の手法・効果を再検討した。まず、先行研究を概観し、垣間見によって登場人物と読者の視線を同化させることで、作者・語り手が隠れた上で人物描写が可能になることに着目した。また、初期の物語作品である『竹取物語』と『伊勢物語』における垣間見の場面についても再検討し、物語の出発点における垣間見の描写の役割を検討した。垣間見を「型」にあてはめず、登場人物の視線を借りる手法として広く解釈する可能性について示した。