抄録
本稿は、2025年に提唱された「バイブコーディング」の概念を障害学および支援技術(AT)開発の文脈に位置づけ、重度身体障害のある当事者によるソフトウェア開発参加の可能性を理論的に考察するものである。バイブコーディングとは、自然言語による指示でAIにコードを生成させる開発手法であり、従来のプログラミングスキルの壁を根本的に変える可能性を持つ。本稿では、この技術的転換がAT開発における当事者参加のあり方をいかに変えうるかを分析し、「使う人が作る人になる」という新しい開発パラダイムの実践的なガイドラインを提示する。さらに、バイブコーディングがもたらす「能力の再構成」という現象を手がかりに、医療モデル・社会モデルの二項対立やICFの相互作用的枠組みでもなお十分に捉えきれない、LLM時代の障害とテクノロジーの関係性について考察する。