抄録
近年、ろう・難聴者がソーシャルワーク教育や実践に参画する機会は増加しているが、専門職資格取得の過程には依然として多くの障壁が存在する。本研究は、米国のソーシャルワーク専門職資格試験を対象として、ろう者に対するアクセシビリティの現状と課題を明らかにすることを目的とした。米国東海岸のA大学大学院ソーシャルワーク研究科修了生で資格試験を受験したろう者8名を対象に半構造化インタビューを実施し、質的記述分析を行った。その結果、試験問題の手話翻訳の有無、翻訳者の不足、合理的配慮の獲得困難、試験問題の言語的構造、ろう者向け試験対策の必要性という五つのカテゴリーが抽出された。本研究は、資格試験のアクセシビリティが個別配慮にとどまらず、試験設計に内在する構造的課題であることを示唆する。