抄録
本論文では、聴者中心の構造において当事者が排除される状況をふまえ、当事者主体の活動が実現された三つの事例を取り上げ、分析した。具体的には、アメリカのギャローデット大学におけるDeaf President Now運動、アンドリュー・フォスターによるアフリカでの教育活動、そしてフィリピンのろう当事団体であるフィリピンろう者協会(PAD)およびフィリピンろうあ連盟(PFD)の取り組みである。これらの事例を比較・検討し、当事者主体の活動を可能にする要因や背景を明らかにした。その上で、見出された要因が他国、特に日本においても応用可能かを、日本におけるろう教育や政策の現状をふまえて考察した。