日本LCA学会誌
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持続的リン管理の国際動向
松八重 一代大竹 久夫
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2018 年 14 巻 2 号 p. 134-140

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抄録

リンは窒素・カリウムと並び植物の生長に必須の三大栄養素の一つであり、肥料原料に欠かすことのできない資源の一つである。現在、経済圏で用いられるリン資源の大半は鉱石由来のリンである。USGSの2018年の報告によると産出量については、中国、モロッコ、アメリカの3カ国で世界全体の産出量の約75%を占め、世界全体でのリン鉱石の経済埋蔵量のうち7割以上はモロッコ一国が占めている。リン鉱石の多くは肥料原料に用いられるが、半導体、表面処理剤、EV二次電池、医薬品や加工食品等の工業用途も大きな需要がある。食料供給に欠かすことのできない資源として、欧州をはじめ各国・地域でリンを戦略的資源とみなし、その持続的な利用について熱心な議論が進められている。持続可能なリン資源管理・保全に向け、今後、農業をはじめとするリン資源を活用する産業での資源利用効率の向上を目指し、未利用リン資源回収・再資源化技術開発、循環資源利用技術の産業化に向けた経済的・効率的な条件確立が期待される。

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