日本LCA学会誌
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解説
東アジアにおける窒素管理研究の動向
林 健太郎
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2018 年 14 巻 2 号 p. 141-145

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抄録

人類が大気中の分子窒素からアンモニアを合成する技術を確立してから一世紀が経過した。人工的固定窒素を起源とする化学合成窒素肥料は食料の大増産を可能とし、同じく各種窒素化合物は原料や素材として化学産業を発展させ、世界の人口増加と経済成長に大きく貢献してきた。地球システムの人間圏に発生したこの新たな窒素フローは、いまや大気・陸水・土壌・海洋といった他のサブシステムの窒素フローを撹乱するほどに巨大となり、様々な環境問題を直接・間接にもたらしている。よって、人類の持続的な窒素利用には,便益の最大化と同時に付随する生態系や健康への有害影響を最小化する窒素管理の枠組みが必要となっている。本稿は、世界規模の窒素管理システムの構築を狙う国際プロジェクトTowards INMS(International Nitrogen Management System)に関する研究動向を東アジアと日本の視点から紹介し、今後の産業・LCA分野の研究展開への期待を述べることを目的とする。

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