2019 年 15 巻 1 号 p. 70-85
本論文の目的は、ストックとフローのデータから製品の寿命分布統計量(具体的には平均製品年齢や平均使用年数)の時間変化を推定する簡易手法を提案することである。提案手法により推定される平均製品年齢は、与えられたストック・フローの時系列データと整合的なもののなかで最小という性質を持ち、これは真値の下限を保証するものとなる。また推定結果は、販売台数データの期間に影響されないという性質も持つ。本論文では、仮想的なデータおよび日本の乗用車・貨物車のデータを用いた検証により、既往研究の手法とも比較した上で、提案手法が各種寿命分布統計量の推定に有用な情報を提供する手法であることを示す。