日本LCA学会誌
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研究論文
LCA手法に基づく乾燥キャベツ製造工程における環境影響評価-ブランチング処理に伴う環境負荷低減の可能性-
佐々木 勇麻折笠 貴寛渡邊 高志椎名 武夫築城 幹典小出 章二
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2019 年 15 巻 2 号 p. 174-187

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抄録

乾燥青果物の製造工程において、加工中および加工後の品質劣化の抑制を目的とした加熱処理であるブランチング処理を乾燥前に行うことで、その後の乾燥速度が増加することが知られている。乾燥速度が増加すれば、乾燥工程における環境負荷の低減が期待される。本研究ではブランチング処理に伴う乾燥速度の増加が、乾燥キャベツ製造工程における環境負荷低減に及ぼす影響について解析するとともに、乾燥後製品の栄養成分から環境効率を算出し、品質と環境負荷の関係について考察した。熱湯ブランチング処理により乾燥時の電力消費量はおよそ半分に減少し、LIME2における統合化の結果、63.4%の環境負荷削減効果が得られた。また、栄養成分について、ブランチング処理によりL-アスコルビン酸含有量およびBrix糖度は減少するものの、環境効率はブランチング処理を行わない条件よりも高く、より良好な処理方法であることが明らかとなった。これらの結果から、ブランチング処理は乾燥キャベツ製造工程において環境負荷の低減効果を有する処理方法であることが示された。

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© 2019 日本LCA学会
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