2021 年 17 巻 1 号 p. 29-44
本研究資料では、発電に伴うライフサイクル GHG 排出量に着目しメタ分析を行った。対象とした発電方法は、石炭、石油、天然ガス、地熱、風力、原子力、水力、太陽熱、太陽光、バイオマスである。石炭、天然ガスは、 CCS の有無、太陽光は、パネルの種類、風力発電は、陸上、洋上でさらに細く分類した。本研究では 66 本の査読付き論文を対象にメタ分析を行った。対象範囲はフルライフサイクルとし、燃料製造段階、建造段階、発電段階、廃棄段階に分類し不足している段階については同じ発電方法の平均値を当てはめる補正を行った。メタ分析によって化石燃料由来発電から非化石燃料由来発電に切り替えることで、中央値で見ると 1kWh あたり約 90% のライフサイクル GHG 排出量が削減されるが、発電方法によっては削減量が 50% 程度となる場合もある。発電においてGHG 排出量へ影響を与えるのは発電容量や発電所寿命、発電方式であり、これらの把握が重要であることが明らかとなった。