日本LCA学会誌
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廃棄物系バイオマスの役割と課題
矢野 順也平井 康宏
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2022 年 18 巻 1 号 p. 21-27

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抄録

脱炭素社会における廃棄物系バイオマスの役割と課題について概説した。2015 年時点で、2.5 億トンの廃棄物系・未利用バイオマス発生量の利用率は 70.6% であった。これまで、廃棄物系バイオマスは再生可能エネルギーの1つとして、温室効果ガス(GHG)の削減や循環型社会形成、また地域経済の発展に貢献してきた。2018 年には第 5 次環境基本計画で「地域循環共生圏」の概念が提唱され、脱炭素社会は資源循環分野において地域循環共生圏が描く将来像の 1 つであり、地域で発生する廃棄物系バイオマスの循環利用が脱炭素社会および脱炭素社会を内包する地域循環共生圏形成に大きな役割を担っているといえる。2021 年 8 月に示された廃棄物資源循環分野の2050 年 GHG 排出実質ゼロに向けた中長期シナリオ案において、廃棄物系バイオマスに係る対策例としては非エネルギー起源 GHG 対策として製品原材料のバイオマス化を含む素材転換、エネルギー起源 GHG 対策としてバイオマス比率の増大も前提にした効率の高い燃料化や熱回収による他分野のエネルギー起源 GHG 削減への貢献などが挙げられている。

 脱炭素社会に向けて廃棄物系バイオマスの循環利用による GHG 排出量や削減量を定量化する上での今後の課題点としては、1) エネルギー回収からより付加価値のある素材への代替物の変化、2) 廃棄物系バイオマス中の化石由来炭素割合の把握と精緻化、そして、3) より複雑化・多様化する炭素ストック・フローの把握、が挙げられる。

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