森林は、大気中の二酸化炭素を吸収し炭素を貯蔵する機能によって地球上の炭素収支に大きく寄与しており、気候変動対策において重要な役割を担う。また、森林から伐採される木材も、最終的に燃焼あるいは生物分解されるまで炭素の貯蔵庫として機能しており、地球上の炭素循環に影響を与えている。本解説では、地球規模の炭素循環における森林・木材の役割、国連気候変動枠組条約における京都議定書やパリ協定での森林・木材の取り扱い、日本における森林・木材の炭素ストック機能について概説する。さらに、森林・木材の炭素収支に関わる今後の研究課題や展望を議論する。