2022 年 18 巻 2 号 p. 70-76
国連において 2015 年に採択された 17 の持続可能な開発目標(SDGs)の 12 番目は持続可能な消費と生産(SCP)パターンの確保である。持続可能な生産についてはクリーン生産や環境配慮設計などのアプローチが定着してきているが、持続可能な消費に対するアプローチはグリーン購入や廃棄物の分別など施策が限定的であり、定着には至っていない。SDGs やパリ協定によって、SCP パターン定着へのアプローチの対象が個別の課題からライフサイクル全体、さらに社会インフラまでに拡大し、改善を中心とする効率性アプローチから社会的な変革を目指す充足性アプローチに変遷してきている。本稿では、SCP パターン定着へのアプローチとして(1)SCP 政策の対象の変化と拡大、(2)消費と生産の連携強化、(3)社会システム転換、(4)ボトムアップの実践という 4 つの方向性を提示し、その入り口としての 13 の実現機会を提案する。この実現機会から導出される消費へのアプローチ事例として価値活用型循環、コト消費、環境情報提供を紹介する。