2022 年 18 巻 2 号 p. 77-82
持続可能な消費を目指す政策は四半世紀以上試みられてきたが、環境負荷の増大には歯止めがかかっていない。本稿では、既存のアプローチを改善型政策アプローチ、今後展開されるべきアプローチをシステム転換型政策アプローチと称し、それぞれの概要と LCA 研究への示唆を説明した。改善型の持続可能な消費への施策は大別して 3 種類があり、LCA による知見も大いに活用される一方で、限界も存在する。それを補うのがシステム転換型のアプローチであり、これを模式化したビジョン創発型政策形成(envisioning-based policy making; EnBPM)の概要や利点などを説明した。EnBPM を適用した事例研究からは、従来のステークホルダーの枠を超えた協働作業が行われることが望ましいこと、そのための「場」の果たす役割が大きいことなどが示唆されている。EnBPM の観点からは、LCA にスクリーニング的な評価や形成的評価へ展開していくことなどが期待されている。