日本LCA学会誌
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解説
島嶼部の生物多様性戦略:LCAの活用に向けて
香坂 玲内山 愉太
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2022 年 18 巻 3 号 p. 124-129

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抄録

島嶼部における生物多様性保全に関して LCA の活用に向けた課題の考察を行うべく、まず、そのコンテクストとなる生物多様性保全の国際プロセスとしての生物多様性条約やSDGs等に関するレビューを行った。続いて、地域の生物多様性保全に関わる制度としての環境税について入島税を事例として、沖縄県における状況について分析した。さらに、国内の生物多様性戦略の策定状況について全体的な状況を概観し、島嶼部における策定状況として、礼文島、奄美大島、佐渡を事例として取り上げ、各地の状況の考察を行った。各島の事例からも明らかになった通り、生物多様性保全の観点から特徴的な取り組みが展開されている状況は、地域のコンテクストに根差した取り組みが発展しているという点で評価できるが、LCA の観点からの評価・検証は課題として残っている。異分野連携により、生物多様性保全を促進する機運が高まりを見せる中で、各取り組みの科学的評価と、改善サイクルの構築に向けた LCA の活用が期待される。

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