2025 年 21 巻 4 号 p. 219-227
本稿では、サーキュラーエコノミー(CE)の実現に向けたシェアリング事業のシステム設計手法について論じる。シェアリングは製品稼働率の向上を通じて環境負荷低減に寄与し得る一方で、リバウンド効果またはバックファイア効果により環境負荷が増大する可能性が指摘されている。本稿では循環エコシステムの概念を提示し、消費者行動を考慮したシェアリング事業の事前評価を含めたシステム設計の重要性を述べる。さらに、マルチエージェントシミュレーションを用いた耐久消費財シェアリング事業の事例、およびシナリオ設計を活用したバイクシェアリング事業の事例を紹介し、政策介入やビジネス戦略等による効果とセグメント別戦略の必要性を示す。最後に、シェアリング事業のシステム設計を社会実装へと展開していくために取り組むべき研究課題を提示する。