本稿は、産業部門における100 ℃以下の低温熱需要の脱炭素化を対象とし、ヒートポンプ(HP)と蓄熱(TES)・蓄電(BESS)を統合的に設計する枠組みを提示する。塗装工場における24時間実測データを基盤に、低温熱がエネルギー需要の大宗を占める実態を明らかにし、再生可能電力とHPの高効率性を組み合わせ、TES・BESSによって需給の時間的不整合を緩和することで、CO₂排出削減と運用コスト抑制を同時に達成できることを示す。さらに、TESは即効的かつ高効率な選択肢として有効である一方、BESSは長期的に系統柔軟性を高める補完技術となり得ることを論じる。これにより、工場単位から産業団地スケールへの展開を見据えた低温熱脱炭素化の実装原理を整理する。