LCとLC/MSの知恵
Online ISSN : 2436-1194
総合論文
シリカ系逆相固定相の姿・状態・相互作用等に関する考察 その1
長江 徳和
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 1 巻 p. 8-27

詳細
抄録

逆相クロマトグラフィーで用いられるシリカ系逆相固定相について、以下の事柄を考察した。固定相の種類により、分離の選択性は変わるが、保持そのものは炭素含有量により決まる事が多く、炭素一個分の差がある化合物の分離係数は、保持時間が同じになる様に移動相中の有機溶媒濃度を調整すると、C1 から C30 の全てのアルキル基固定相で同じであった。有機溶媒濃度が 5 %以下の移動相を用いた時の保持の減少は充塡剤細孔内から移動相が抜け出す事により起こり、これは毛管作用が働いている。逆相固定相は移動相の有機溶媒の種類により膨潤度合いが異なり、メタノールでは殆ど膨潤しないが、テトラヒドロフランではアルキル基が立ち上がる程膨潤した。有機溶媒の種類の差による分離は移動相の変化 と共に固定相の変化も寄与していると考えられ、膨潤による固定相の容量が増える事により、保持は増加した。

著者関連情報
© 2020 公益社団法人日本分析化学会・液体クロマトグラフィー研究懇談会
前の記事 次の記事
feedback
Top