2020 年 1 巻 p. 28-40
タンパク質の安定した LC/MS 分析へ向けて、モノリス形シリカを利用したナノフロー LC 用ミクロトラップカラムを開発した。開発したミクロトラップカラムは、内径 0.2 mm、 長さ 35 mm、容積は約 1.1 μL である。シリカ表面へブチル基(C4)修飾を施した C4 修 飾モノリス形シリカキャピラリーカラムは、イソクラティック溶離により、タンパク質可 溶化に使用される界面活性剤(CHAPS)とタンパク質が容易に分離される事から、トラッ プカラムとして有用であると考えられる。本トラップカラムを使用する事で、インタクト なヒト血清アルブミンリコンビナント(human serum albumin recombinant、rHSA)と 還元処理を施した rHSA の分離挙動に違いが認められ、ピークを比較する事により、還元 反応の追跡も可能であると考えられる。高濃度のタンパク質可溶化溶媒(10 mmol/L CHAPS、1 mmol/L EDTA・2Na、6 mol/L グアニジン緩衝液)に溶解したタンパク質試料 においても、トラップカラムを使用する事で、直接 LC/MS 分析が可能であった。